これからサービスルームがあるマンション住戸を選ぶかどうか悩んでいる方向けに、サービスルームがある住戸を選ぶ際の注意点をまとめました。
- サービスルームってなに
- サービスルームを居室として使えるか
- サービスルームのメリットデメリットが知りたい
- サービスルームの法的解釈は?2023年4月法律改定について
- サービスルームがある間取りを選ぶ時の注意点
- 居室扱いだけどサービスルームと変わらない部屋に注意
サービスルームがある部屋って実際どうなんだろう?
サービスルームについてポイントを説明していくよ。
サービスルームの定義ってなに?
マンションパンフレットの部屋名に【サービスルーム】と記載がある部屋は、建築基準法の居室の要件を満たしていない部屋なので販売上サービスルームという表記になっています。
居室の要件とは、基本的に以下の3つの基準を満たしているものになるよ。
- 採光に有効な窓がついている。
- 換気に有効な窓がついている。
- 排煙に有効な窓がついている。
✳︎実務上は、それぞれの項目に緩和規定があり個別判断となります。
実務上は、採光が取れないからサービスルームになっていることが多いよ。
採光が取れてないと、どうなるの?
簡単な話、採光がとれている部屋に比べて暗い部屋になるよ。
サービスルームは寝室・子供部屋として使えるか?エアコン設置は?
結論、普通に寝室や子供部屋として使えるよ。エアコンも設置できるよ。
建築基準法上は非居室あつかいになりますが、実態としては普通に寝室や子供部屋等に使えます。エアコンも設置可能です。
ちなみに建築基準法で居室は以下のように定義されています。
居室と言えるようにするために、先程の採光・換気・排気の居室の要件を満たさなくてはいけない訳ですが、どうしても基準を満たせない部屋についてはサービスルームという表記をして販売しています。
基本的な仕上げや設備については一般的な部屋と同じ仕様になっているので、寝室や子供部屋に使用するには不足はないです。エアコンも設置可能です。
採光が取れていない部屋なので、窓の前に壁があったりして暗い部屋が多いです。子供部屋として良くない環境と思う人には不向きです。逆に寝室に使用し寝るだけと考えている人には許容できる範囲かと思います。
サービスルームのメリットデメリット
良し悪しは表裏一体です。サービスルームが自分に向いているかどうか考えて行きましょう。
メリットについて
- 販売価格が採光が取れている住戸に比べて低く抑えられる
- 光が安定しているので光をコントロールしたい特定の活動に最適です
- 紫外線に弱い家具等の大切なものを保管するのに適している
- 暗い部屋なので暗闇を作れて睡眠環境を向上させることができる
一番のメリットは購入価格が採光が取れている間取りに比べて安く購入できる可能性があることだと思います。
販売上は、どうしてもデメリットになりますので一般的に販売価格は下がってきます。
また部屋が暗いということは、光が均一に保たれるという点がメリットになってきます。落ち着いて作業したい方や、映像・デザイン関係の仕事をパソコン作業でやられている方は外部の環境の影響を受けにくいので作業に集中できると思います。
紫外線に弱いものを保存しておくにも最適な環境になってきます。家具やファブリックを保管するにも良いと思います。湿気が多くなると心配になる方もいらっしゃると思いますが、基本的な換気・エアコンや除湿機で対応できるので心配は不要だと思います。また、完全な暗闇は深い睡眠を促し、睡眠の質を向上させることがきます。
ヨーロッパでは暗い部屋は逆に人気があるらしいよ。家具が痛むことを嫌う人が多いそうです。
デメリットについて
- 自然光の不足
- 換気の問題
- 照明コストの増加
- 再販売時の価格
- 住環境の質
単純に部屋が暗くなることが一番のデメリットです。また、再販売価格にしてサービスルームがある住戸の方が安くななる傾向があります。将来、住み替えを考えている方には不向きなってきます。
また、暗いが故に照明を付ける必要がありますので電気代が高くなります。合わせて湿気やカビが発生しやすい空間になりやすい傾向があります。
デメリットとメリットを見比べて自分のライフスタイルに合った間取りを選びましょう。
サービスルームの法的解釈は?2023年4月法律改定。
最新の法律緩和について
2023年4月に採光に関して緩和規定が施行され、これまでは居室面積1/7の基準を満たす採光上有効な窓を設ければ良かったのですが、照明器具(床面で50lx確保できるもの。)を設置すれば1/7→1/10に緩和されることとなりました。要するに従前より窓が小さくても居室扱いできるようになりましたということになっております。
購入者に影響が出そうな点として、必ず照度が取れる照明器具をつけることを言われると思います。
実務でも導入されたばかりなので、実際にどのようになるか分からないよ。
サービスルームがある間取りを選ぶ時の注意点。
どうやって選んだらいいのかな…
選ぶ際の注意点を確認していこう。
- 中古物件であれば内見をして実際の空間を確かめよう
- 新築物件であれば間取り図を確認し採光が取れていない理由を確認しよう
- 基本的には上階に行けば行くほど部屋は明るくなる
- 廊下の奥にある部屋は、近くにキッチンやUBの排気がないか確認しよう
- サッシについている面格子が縦格子か可動ルーバー面格子か確認しよう
中古物件であれば実際に内見をして確認してみましょう。写真で見るのも良いけれど、加工されて明るく感じるようにされている可能性があるよ。また、同じ間取りで上階がサービスルームでない場合、その部屋は明るい可能性があるよ。少しの差で基準をクリアできなかった可能性があります。
上階に行けば行くほど、周辺建物の影響を受けにくくなってくるので基本的には明るい部屋になってくるよ。周囲の建物がどこに建っているかも確認していこう。
あと、気をつけたいのが突き当たり廊下の奥にあるサービスルーム。キッチンやUB排気の吹き出し口が廊下にないか確認しよう臭いが籠ると給気口から入ってくるので避けたいです。
次に面格子の種類について確認していこう。
廊下に面するサッシには面格子がついております。
種類については、可動ルーバー面格子と縦格子の2種類あります。
可動ルーバー面格子の方が、グレードは高いです。一般的に参考写真にあるように面格子の上下で開閉具合を調整できます。
縦格子タイプだと外部廊下を通る人影が見えます。気になる方は可動ルーバー面格子の付いている物件が良いと思います。
居室扱いだけど注意したい部屋について
法律的には居室だけど実際は暗くなりがちな部屋について確認していこう。
- 窓の形状が斜めになっていないか?
- 廊下に面する窓の下に下部FIX窓がついていないか?
窓の形状が斜め形状となっている場合は、採光を確保するために明るい方向に窓を向けて法的基準を満たそうとしています。法律的には問題なく居室扱いになりますが、部屋は暗くなりがちです。基本的に間取りパンフレットには廊下の反対側を描いておりませんので注意が必要となります。
また、廊下側の部屋の窓下に下部FIX窓がついている場合、腰窓だけだと採光基準が満たせないので下部FIX窓を設けて基準をクリアしております。腰窓で普通に居室扱いされているものより、暗くなっている可能性があります。
まとめ
マンション住戸のサービスルームについては、寝室や子供部屋として普通に使用できます。
ただし、採光が確保できていない為、暗い部屋となりますので用途によっては注意が必要となります。
一般的に北側の部屋が多いと思いますので換気等に配慮しないとカビが発生しやすい環境でもあります。
選ぶ際に注意して頂きたいことは、奥まった廊下にサービスルームが位置していている場合、UBやキッチンの排気がないか確認して下さい。部屋の給気口から臭いが入ってきますので注意して下さい。
実需検討されている方で、選択しようとしている住戸にサービスルームがあり悩まれている方へは、私はそこまで気にしなくても良いのかなと思っております。理由としては、可動ルーバー面格子が設置されていると採光が取れている部屋と同じくらい暗く感じるからです。
中古であれば実物を見学するようにしましょう。竣工前の物件であればパンフレットに載っていない部分がどうなっているか確認してみましょう。
サービスルームがある部屋だから検討から外すのではなく、少し確認すれば意外と自分にあったマンションとの出会いがあるかも知れません。